CULTURAL PROPERTIES 文化財保存設備

保存環境維持管理

文化財を守り続けていくために

日常的に進行する文化財の劣化を防ぐためには、収蔵や展示に関する各設備の整備や、日々の管理をはじめとする保存・展示環境の維持(文化財IPM)を行うことはもちろんのこと、万が一劣化を急激に進行させる事象が発生した際にも適切な処置を実施できることが重要となります。
クマヒラでは、日常における文化財の保存・展示環境に関する調査から、虫菌害などの生物的被害が発生した場合の改善作業・防除作業まで、文化財保存環境の維持管理に関する幅広いサービス・製品を取り扱っています。

劣化のリスクに晒される文化財

MEASUREMENT OF THE TEMPERATURE

温湿度測定

デジタル温湿度計を用いたモニタリング

適正な温度・湿度の管理を行うことで劣化のリスクを未然に防ぎます。文化財の材質と虫・カビの生育条件の両方を考慮した上で温湿度の維持管理を行うことが重要です。
デジタル温湿度計(データロガー)を用いて一定の期間、温度と湿度の変動をモニタリングいたします。

MEASUREMENT OF THE AIR

空気環境調査

エアーサンプラー、パッシブインジケータを用いた化学物質濃度測定

空気には、アンモニア、有機酸(酢酸・ギ酸)、アルデヒド類等の化学物質が含まれています。
これらの物質によって、収蔵・展示している作品および資料の劣化が引き起こされる可能性があります。
簡易的な測定キットを用いて対象となる空間の空気質環境を測定することで、目に見えないリスクの可視化が可能です。

エアーサンプラーを用いた空気質測定の様子
パッシブインジケーターを用いた空気質測定の様子

HARMFUL GAS ADSORPTION SHEET

ガスエルシート

文化財を劣化させる有害ガスを吸着するシート

文化財を劣化させる要因となる有害ガスに対して、特定の有害ガスを吸着する特殊な吸着材を塗布したシートを用いることで最適な保存環境を維持します。
ガスエルシートは展示ケース床面や展示台等に設置することで、文化財にとって有害なガスである酢酸ガス及びアンモニアガスを素早く吸着するシートです。シート状の薄い材質のため必要な大きさ・形に応じてはさみ等で加工し使用することが出来るため、低コストで環境改善対策が行えます(※1)。また、資料への化学的影響を判定するPAT(※2)に合格しており、文化財に対する安全性も備えています。
※1 効果を保つためには、シートを適宜交換する必要があります。
※2 「写真活性度試験=Photographic Activity Test」という、紙資料より化学的影響に敏感な写真資料を用いて、試験材料が与える影響を判定する試験。

酢酸・アンモニアガス吸着シート

優れたガス吸着性能を有しており、酢酸ガスに関しては、濃度500ppbを超える環境でも、100日間以上にわたり独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所(以下、東文研)が定める推奨値170ppb以下に維持できます。それに加えて、アンモニアガスに関しては、濃度100ppbを超える環境でも、100日間以上にわたり東文研が定める推奨値30ppb以下に維持できることを確認しています。

酢酸・アンモニアガス吸着シートに付属するインジケーター

シートの交換時期目安が容易に目視で確認できるインジケーターをラインナップしています。
シートと合わせてインジケーターを設置することで、シートの有害ガス吸着量や交換時期を視覚的に確認することが可能となるだけでなく交換漏れによる劣化促進を防ぎます。

FUMIGATION EQUIPMENT

燻蒸庫・燻蒸作業

文化財害虫やカビを殺滅するのための設備

燻蒸庫は虫菌害の発生が確認された場合に備えた設備となります。
密閉した空間にガス状の薬剤を入れ、殺虫・殺菌を行います。
燻蒸庫がない施設でも、密閉燻蒸や包み込み燻蒸といった方法にて、燻蒸作業が可能です。

燻蒸庫の扉

文化財を燻蒸する設備

CASE STUDIES

保存環境維持管理の事例紹介